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八丁味噌で有名な愛知県岡崎市八帖南町。その住宅街に、食書・グルメ本専門の古書店『マロン&メロン』はある。同業は東京・六本木、パリ、ロンドンと世界でも数少ない。 愛犬マロンと愛猫メロンから名づけたこの店に看板はない。店構えもない。小川さんが昨年11月に始めたネット古書店である。 店主の小川嘉彦さんは約40年間愛知県庁に勤め、その後外郭団体に5年勤め、一昨年3月に本当の定年を迎えた。県庁時代は商工部で商業・貿易振興の仕事に長く携わっていた。そんなこともあって定年後は何か商売をという思いがあった。 - 食いしん坊の特技を生かせないか もともと食いしん坊であった。戦後の食糧難の時代に少年期を送ったこともあって、食は人生のテーマだった。食を通して何か仕事ができないかと在職中に夜間の専門学校に2年間通い調理師免許を取得した。 料理店を開くということも考えてみたが「開店資金を考えると……」前にすすむことができなかった。調理師免許は今、小川家の食卓でその腕前が発揮されている。 ウインナシュニツエル(ビーフカツの一種)が得意だが、健康を考えて最近は筑前煮やキンピラ牛蒡といった和食が多いという。 - 古書店を開いてみようか 読書はもともと好きだった。小島政次郎『食いしん坊』(鶴書房刊)子母沢寛『味覚極楽』(竜星閣刊)邱永漢『食は広州にあり』(中央公論)ブリア・サヴァラン『美味礼賛』(白水社刊)気がつけば食の本だけでも300冊は超えている。これをベースに古書店を開くことはできないだろうかと考えた。 経営相談所をたずねてみると「古書店は不振で、結構つぶれているんですよ」との返事である。家賃、土地代、電気代、組合の加盟費用も結構かかる。おまけに万引きに目を光らせなくてはならない。「気の小さい私に、万引きを捕まえることなんてできません」 - ネットの古書店ならできるかもしれない そんな時、芳賀健治『インターネットで古本屋をやろうよ』(大和書房)、北尾トロ『僕はオンライン古書店のおやじさん』(風塵社)の本を目にした。 これなら、店舗もいらないし、万引きに目を光らせることもない。食をテーマにした古書店は、『個性的な店作りが大切』というアドバイスにも叶なっている。「できるかもしれない」と開店を決意した。 早速、パソコン教室に通い、ホームページ作りやエクセルを習った。定年後半年のブランクから、昨年11月に開店に漕ぎ着けた。 - 生活はちょっと忙しくなった。 月に2から3回は同業を回り、本を仕入れ、本の汚れを落とす。1冊1冊本の紹介文をパソコンに打ち込み、リストを作る。注文が来ると在庫がありますよと、返信メールを出し、宅配便やゆうパックで発送を行う。インターネットバンクに入金があれば、お礼のメールを出す。 多いときで1日10冊程度の注文が来るようになった。「こんな古書を探してください。」という依頼も来るようになった。 パソコンに追い回されないように、今でもパソコン教室に通っている。 「マイペースで仕事ができるのがいいですね。自分の好きなことをやる。無理をしない。そんな仕事はボケ防止になるのではないかな。人生で今が一番幸せなとき」と小川さんの顔が微笑んだ。 :*:*:*:*:*
マロン&メロンhttp://home1.catvmics.ne.jp/~a4475117/ (取材・文 阿部克己)
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