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「うな重の出前お願いします」「備長炭はいかがですか」鰻屋と間違えてこんな電話がかかってくる。家族で運営するこの出版社は『うなぎ書房』。トマト銀行ではないが名前は単純なほうがいいと命名した。『寄席は毎日休みなし』『背中の志ん生』『十代文治 噺家のかたち』など落語関係の本を多く出版する。粗忽な電話も落語的で面白い。 この5月落語愛好者の層を広げ、落語界の発展に寄与した功績が認められて『第10回林家彦六賞特別賞』に輝いた。 - いろんな本があるから出版 7年前、30年勤めていた大手出版社を辞め独立した。 バブル経済が崩壊してから、出版界は利潤追求が最優先されるようになった。広告収入が期待できる情報誌やタイアップ出版、売れるテーマに各出版社が群がって同じような本を出す。こんな画一化、類型化が進行した。これで読者は満足するのだろうかと考えた。 - 読者に訴えるものがある本作り 「今の自分を変えたい、もっと知りたいという好奇心の情熱があるから、読者は本を読むのです。」大手では困難かもしれないが小さな出版社なら、少しの採算で読者に訴える本が出せるのではないか。 そんな思いに小島貞二さん、春風亭柳昇さん、鶴見俊輔さん、式田和子さん、鮎川哲也さんなど作家、評論家、噺家が応援を申し出た。 お世話になった人が元気なうちに、自分が納得できる本を企画したい。思いが募って定年を待たずして独立を決めた。 当初は推理小説も手がけたいと思っていたが、どうしても落語や寄席の本に特化してしまった。学生時代『喜劇研究会』(同志社大)に参加、出版社でも落語や芸能史の本を手がけた。 『大衆芸能における笑い』『笑いや芸能は世の中と連動している』といったテーマがどうしても気になるのだろう。 - 初めての営業に戸惑う 編集の経験があっても、営業経験はゼロととまどうことも多かった。 社を立ち上げても大手取次(本の問屋)の口座を取るのに半年もかかってしまった。書店で落語の話をしても通じない。店員さんを演芸場へ招待し落語を聞いてもらった。書店の演芸本の棚の並べ方を他社の本も含めてアドバイスしたこともある。週1回は書店廻り、関東一円をほとんど歩いて回ったという。 ようやく『うなぎ書房…落語ですね』のイメージもできてきた。 創業以来発行点数は20点。その1点1点を読者の代表として、稲見さんが細部にわたって編集に手を染めた。発行点数こそわずかだが、大半が版を重ねロングセラーに成長した。 *
彦六賞の受賞を伝えるうなぎ書房のホームページにこんな言葉が載っている。 彦六師匠の言葉「新しいことに挑戦していれば、世の中どう変わっても怖くはない」この言葉を常に自分に言い聞かせ、これからも無理をせず、続けたいと思っています。ご支援ください。 うなぎ書房は若者の街下北沢に本社を移転し新しい挑戦を目指す。 :*:*:*:*:*
うなぎ書房ホームページhttp://homepage2.nifty.com/unagi-syobou/ (取材・文 阿部克己)
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