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世界一小さく折り畳める自転車を開発してみたい。折り畳んでカートとして転がせる自転車を… ヨーロッパ出張から帰る飛行機の中で、そんな思いが頭をよぎった。 「そういえば、次長になってから仕事はマネジメントばかり、あの、ものづくりの喜びはどうしたのだろう」 思いが募り、55歳で退社。3年前に発明工芸、村山コーポレーションを設立した。折りたたみ自転車以外にも、太陽光エネルギーを使った輪タク。耳元スピーカーなど話題の新製品を生み出している。 船舶用の無線機の営業技術者としてよく海外へ出張をした。製品を技術的な側面から売り込む一方、アメリカやヨーロッパの技術動向を探るため、商品企画に必要な海外の技術を見ることも仕事だった。 休日にはパリ、ロンドンの街を良く歩いた。 「ヨーロッパは自転車に市民権があるんです。専用レーンもあるし、乗る人も多い。そんな街のなかで、自転車に関心が高まった。 - 発明はマーケティングとパズル時の世界 休日が忙しくなった。 まず、これが市場にあるものか無いものかを探り、理想形がどのようなものかを考える。理想形をどのようにしたら実現できるか。パズル解きが始まる。 折りたたんだときカートにして押したり引いたり出来る。 折りたたんで16インチでは世界最小を目指す(世界最小を謳うイギリスのメーカーのものより小さく折り畳める) 自転車として窮屈でなくゆったり5段変則ができる。 素材はアルミで軽く、仕上げは工芸品のレベルに達している…… 様々な課題を設け一つ一つ解いていく。 チェーンを簡単に外し、簡単にセットする機構ができた。この機構で小さく折り畳める。「俺って案外頭がいいじゃん」と褒めてやる。 溶接機を買って自分で溶接を試みたがすぐにフレームが折れてしまった。「こりゃ自分では出来ない」 依頼先を探してみると、溶接技術は日本より、台湾の方が高いと、台湾を訪ね、筆談で発注先を探してみた。 構想1年、やっと設計が完成した。日米英に特許の申請をした。 - 少年時代からの機械好き 新潟県の十日町の出身。中学1年のとき真空管で3級ラジオを作った。 「理科の先生が非常に面白い授業してくださったのです」実験を重視し、まず目に見える変化を示し、なぜこう変わるかを、あとで教えてくれた。 先生に連れられて中学3年のとき、新潟までアマチュア無線の免許取りにいった。高校は、普通高校だったが、大学は迷わず電気を専攻した。そして無線機メーカーに就職した。 - 本当のエンジニアとのめぐりあい 25歳のとき、30歳も年上の先輩に技術、理論ともに教わった。 「無線機は、出したい電波を出し、それ以外の電波を一定以下に押さえなくてはならないのです」 うまくいかないときは「なぜだろう」と一緒に分析してくれた。仮説を立て、本当の原因を把握するために、根気よく現象を検証していく。 「なんだか分からないが直ってしまった。対蹠療法だと、そのときは簡単ですが、いつまでも火種を抱えたままです」 そこで手を抜かない技術。理論で検証していくことを身につけた。 もの作りのほうでは「自分が欲しくなる、こだわりの無線機を作っていましたね。今もそうですが『何のために作るか、作ったものが自分の納得できる品物か』そういう意味では、仕事が趣味のようなものだし、今も相当こだわっていますね」 - 希望退職、そして独立 2002年6月アメリカの特許が確定した。それと機を合わせるように 会社は早期退職制度を導入した。 折り畳み自転車を柱に独立を決意した。資本金300万円で有限会社村山コーポレーションを設立した。 幅広い発明品を手がけようと社名に「コーポレーション」と名づけた。 今年の5月。上田市のNPO法人『上田市広域市民事業ネットワーク』の依頼を受けて、太陽光発電のパネルを客席の屋根につけた伝道補助動力を使った輪タクを開発。新製品が完成した。 病院の待合室や食堂のテレビの音を聴きたい人だけが耳元で聞き取れる スピーカーを開発した。 - ファンクラブが出来た。そしてHPアクセス2000通の大ブレイク。 折り畳み自転車を売る店が増えてきた。大手の自転車店やデパートが取り上げた。もちろんホームページでも売っている。そんな中、ユーザーの中から友の会のネットが立ち上げられた。 「メーカー主導のファンクラブではありませんので、どんな話でも自由に出てきます。返事が必要なときは、返事をしていますが、ユーザーの生の声が聞けますので、有難いなと思っています」 アクセス数も少しづつ増えてきた。 アクセスが増えたといえば、村山コーポレーションのホームページのアクセスも増えてきた。 日本最初の2輪駆動自転車を発売した。小関光弘(日本ロボテクス社長)さんが発明したしたものだが、村山さんも共同開発に加わった。 草の生えた土手道でも、タイヤがスピンすることなく登りきっていく。雪道でもかなり力を発揮しそうだ。 新聞やテレビで報道されると、ホームページのアクセスが2週間で2000件を超えるようになった。 20坪足らずの倉庫を兼ねた長野市の小さな店に直接訪ねてくる人も多くなった。 「生き甲斐は確かにある」しかし、経営は『自転車操業』が現状だ。 二輪駆動自転車がこの現状を、脱出させてくれる日も近いようだ。 :*:*:*:*:*
村山コーポレーションhttp://www.mc1.jp (取材・文/阿部 克巳)
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