![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() ![]() ![]() |
![]() |
「この木の実、何の形に見えますか。握りこぶしに見えませんか。だから『コブシ』なのです。花を見れば大概の人は判りますが、この木の名前は実の形からつけられているんですね」 木の名前は花の形や葉の形、根の形からもつけられているという。 「こちらは『ヤブカラシ』ハンディ顕微鏡で見ると蜜がキラキラ光っているのがよくわかるんです」 「神様もいろいろな植物をお創りになるのに、さぞ忙しいことだったでしょうな」伊藤さんは、木や草や昆虫、鳥などの生態を表現力豊かに解説していく。 - かながわ森林インストラクターとは 森林や林業、自然に関するイベントや講習会、観察会の講師をしている。 かながわ森林づくり公社から依頼を受けて『県民参加の森林づくり』『公共団体・企業・学校などのネットワーク活動』で森の手入れや自然観察会のインストラクターとして、あるときは各種イベントで、森林、林業に関する指導とPR活動を行っている。 メインフィールドは丹沢の森、神奈川の水源林である。森林ボランティア活動のインストラクターとして、森の話や自然の営みを解説するとともに、森林作業の手順や要領、そして安全に作業が進むようアドバイスをする。 - 森林づくり、春 春は植林作業。1ヘクタールに一般生産では3000〜3500本のところを3600本、1間(約1.8メートル)四方に1本の割合で植えていく。「小さいうちは草に覆われながら育っていくのです」 根づいた苗木は6〜7年間は雑草と一緒に成長していく。草が生えないと土が流されてしまうからだ。この間下草刈りなどをして苗木を育てていく。刈った草が枯れ、微生物やミミズなどにより微生物が生まれ腐植土ができ、腐植土の隙間に水を溜めていく。草や潅木(かんぼく)は大きな役割を果たすという。 - よい土壌をつくり、土を守る夏 夏は下草刈りが大きな作業だ。下刈り鎌の柄はしっかり両手で持つ。山の斜面で滑らないよう足元には十分気をつける。マムシ、ハチ、ヤマヒルなどの動物にも気を配る。サンショ、モミジイチゴ、サルトリイバラ、アザミなど棘のある草木にも注意をはらわなくてはならない。熱中症や日射病への配慮も必要だ。 - 秋・冬は枝打ち、間伐(かんばつ) 間伐は混み合った木を間引きして林内を明るくして幹を太らせ、草木が生えやすいようにする環境づくりだ。 枝打ち。「昔はこれをなかなか子供にはさせなかったのです」鉈(なた)で枝を落としていたので、幹に傷をつけないよう、細心の注意が必要だった。今は鋸(のこぎり)で行うのでそんな心配は少ないようだ。 - 水車の音を聞きながら過ごした少年時代 森林ボランティアを目指したのは5年前。それまでの45年間は銀行に勤めていた。自宅に近い丹沢の山にも足を運んだことがなかった。残りの人生は20年と少し。好奇心の持続と健康維持の双方を活かしてくれる仕事として、ボランティアで役立とうと考えた。 少年時代のことが想いだされた。故郷は三重県一志郡一志町。すぐ裏に里山がある村で育った。水車で米や麦をつき、小麦粉、そば粉を挽いた。農業、林業、そして小さな店も開いていた。小学3年生位の頃から、父親に連れられて植林や下草刈り、雑木林での薪作り、落ち葉を集めて堆肥づくりを手伝った。雑木林は生活そのものだった。 - かながわ森林インストラクター応募 そんな想い出に、神奈川の山で炭焼きが出来ないだろうかという夢を乗せ、森林インストラクターに応募した。 約1年余の間、土・日の23日間を研修に参加した。森林関係の法令、林業の基礎、自然保護といった教養講座に続いて、造林、森林保全、自然観察など森の自然観察・野鳥観察などを学び、平成13年10月に認定証を手にした。 - 子供たちに伝えたい 伊藤さんの森林づくりは丹沢以外にも鎌倉風致保存会や四季の森公園での緑を守る活動、南足柄三竹町の竹林整備ほかその活動は幅広い。 自然観察、森林文化の普及という仕事もある。県の水源の森推進課の依頼で『川崎市民祭り』会場で、紙芝居、丸太切り、模型による水源涵養機能の実験など『水源の森林づくり』街頭キャンペーンも行っている。 小中高生の『森林体験学習』のインストラクターも務めている。木工指導で、間伐材を使っての丸太切り、名札や竹笛作り、除伐や下草刈りの指導、森や自然のお話と、楽しく分かりやすい授業をすすめていく。 「この中から一人でも、林業家が育つといいですがね」 木の生長を待つように、20年、30年先の人の成長にも夢を託している。 :*:*:*:*:*
かながわ森林づくり公社、森林ボランティアお問合わせhttp://www.ny.airnet.ne.jp/k_sinrin (取材・文/阿部 克巳)
百人百様シリーズは、今回が最終となります。 ご愛読ありがとうございました。 |
||||
![]() |
||||||
|
![]() |
|
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |