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ユーザはもう雰囲気だけでは満足してくれない |
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![]() 本体に関しては、下位機種と差が見えにくかったという反省点があります。できることという意味でも同じでしたから。そこで、プロセッサ、メモリ、グラフィックスなど、すべて下位機種を引き離す商品を目指しました。差別化要素をきちんとアピールできるようにしたかったんです。 AVパソコンの構想は2年近く前からありました。最近のパソコンの買われ方は、6割から7割が買い換え買い増しなので、こうした音や映像を楽しむためのもっとも上位の製品を世に問うのは、時期的にもいいんじゃないかと思います。 実は、店頭の声を聞くと中上級者が求めるパソコンが変わってきているんです。具体的に、グラフィックスや全体の性能などがきちんと検討されているようなのです。他社製品や、自社の下位機種と比べたときに、メモリの速度が速いとか、グラフィックスボードがいいとかという、きわめて具体的な部分を見る傾向が顕著なんですね。だから、もう、雰囲気だけじゃダメなんだと思います。とすれば、これまでと同じような製品作りではいけない。状況も整ったし、環境も整ったのだから、そのチャンスを逃さないようにしなければなりません」 このシリーズでも、以前に登場した樫本がフォローする。樫本は、SimplemやVALUESTAR FSなど、一体型PCの企画で異端児を自認しながら、画期的な企画を形にしてきた実績を持つ。 ![]() |
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高性能パソコンはかくあるべしのデザイナーの仕事 |
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基本部分を共用したプラットフォームでも、その製品に与えられたコンセプトによって、ユーザの印象は大きく変わる。その印象を、さらに増幅させ、パソコンを所有する喜びにつなげるのがデザイナーの仕事だ。コンセプトを明確に伝えるために、鳴澤は何を考え、それをどう形にしたのだろう。![]() 今回は、パーソナルというカテゴリの中の上位機種ということだったので、比較的やりやすかったですね。的をしぼることができましたから。ひとつのコンセプトに的を絞り、明確なターゲットユーザに訴求すればいいのですから、仕事としては、やりやすかったんじゃないかと思っています。だから、最終形も、最初に作ったモックアップとそれほど大きく変わってはいません。 ![]() 最初、手書きのラフを描くときに、シャープというだけではなくて、形状に意味合いがあるようなものにしたいと思いました。基本的な考え方のきっかけは、何枚かの板を束ねるという発想です。つまり、増幅していけるイメージです。 さらに、前面の入出力端子周りのところをどう差別化するかも重要な要素でした。それを特徴として出してあげるにはどうしたらいいかを考えました。オーディオ機器のように高級感が必要だと思ったんです。 小さなコンテを描いていたときから置き台は欠かせないものとしてありました。 ![]() 想定しているユーザは男性。うん、男のパソコンですね。パーソナルの上級機を買うということで、男性を強く意識しました。シンボリックターゲットは三十代の前半から後半といったところで、ホビーとしてAVをいろいろやっている人たちですね。だから、リビングではなく、個人の想いが入っている空間の中で使われるパソコンを想定しています。だから、ディスプレイも、今までより、多少精悍なイメージを狙ってみました」 |
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モニタディスプレイはテレビもなければならない |
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一見、テレビと見分けがつかないデバイス、すなわち、液晶ディスプレイがそこにあるのに、パソコンを起動しなければテレビを見ることができないのは不自然だ。それではAVパソコンとして失格だと樫本は考えた。液晶モニタを、PCの周辺機器としてとらえるのではなく、音声や映像の出口として中心に据えることを企んだのだ。 樫本 「まず、ディスプレイはSoundVuによる音声出力はもちろん、USB2.0のハブ機能も備えており、モニタとしての基本機能は押さえています。 その上で、液晶ディスプレイ側にもテレビの機能を持たせたんです。発想としては簡単です。だって、パソコンを使っていないとテレビが見れないなんて、おかしいじゃないですか。でも、モニタ側にテレビチューナを内蔵すれば簡単にみれる。これは、使う側から見てもわかりやすいし使いやすいですね。なにしろ、電源を入れればアッという間にテレビが見れるんですから。 ![]() うしろめたいことがあるとすれば、2チャンネル同時録画が現時点では"まだ"できないことですね。これは、コストというよりも、PCIのバス幅等の技術的な問題です。ハードディスクに録画するときに必要な帯域を考えると厳しいものがあります」 |
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画質と機能を両立したい |
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言うのは簡単だが、実際に形にするのはたいへんだ。ワイド液晶の左側に4:3のデスクトップを寄せてしまい、余った右側のスペースにモニタ側の映像を表示するPOP。また、大きな画面でテレビ放送を表示してナイターでも見ながら、子画面にSmartVisionのテレビ放送を表示するPIP。主と従は一瞬で切り替わる。このアイディアを実装するにあたって、ディスプレイ部分の開発設計を担当した奥野は悩みに悩んだ。いや、奥野の悩みは、カスタムテクニカから企画を持ちかけられるずっと以前から始まっていたのだ。
奥野 「モニタにチューナを入れるのは、とてもいいソリューションです。最初にテレビ機能付きモニタを出したのは今から1年前ですが、それを出したあとに、次はどうしようかとずっと考えながら、まずは、アクセステクニカ内部で作業を続けていたんです。 画質を大幅に向上させることを前提に、その付加機能も考え始めていました。もちろん、コストをかければなんでもできますが、それはかないません。 ![]() いろんな案を考えましたね。4〜5案を考えていました。そして、LSIメーカとそのLSIの違いでできることできないことの切り出しと製品時の画質を検討して4案が残り、さらに、最終的に2つが残りました。 高画質であることと、PIP/POPを両立させるためには、とにかくプログレッシブの映像を作る必要があります。当然、メモリ等も必要で、コストがかかります。それを実現するLSIメーカにも、各社必ず特徴があるので、それぞれが普通にモニタを見ている人からどう見えるかを調べるといった作業の中で、案をしぼっていきました。 日頃から隠し球をいっぱい持っていないといけないという姿勢が役立ちました。今回は、アクセステクニカの中で、いろんな情報をストックしてあったのが功を奏しました。開発しながらの蓄えです。そして、今回は、たまたま、カスタマックスやカスタムテクニカから持ち込まれた企画と、アクセステクニカの考えが一致したんです。だから、スタートはスムーズにいったんじゃないかと思います。ただ、一点、画質の向上とPIP/POP機能の両立とうことをのぞいてはね」 これに対して樫本が応える。 ![]() ![]() 奥野 「自分たちだけで作るわけではないし、器としてのデザインもあります。構造を設計する人と、中に入れるボードを設計する人とのコラボレーションですからね。それに、機能を実現するためのLSIの選定に苦労しました」 ![]() 樫本 「いろいろな事情が、結果的に奥野さんを苦しめたかもしれません」 |
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画質改善の秘密がここにある |
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今回のPIP/POPを実現するためには、ハードウェア的に3種類の機能をモニタ側に実装する必要がある。ひとつは、ビデオデコーダ。これは、モニタ内蔵のテレビチューナから受け取ったアナログ信号をデジタルに変換するためのものだ。 さらに、プログレッシブ変換。これは、インターレスのテレビ映像をノンインターレスのプログレッシブ映像に変換する。 そして、最後にスケーラ。これは、映像をパネルの大きさに拡大するためのものだ。従来は、1つの映像を特定のパネルの解像度に拡大するだけだったが、今回は、PIP/POP機能により複数の映像をサポートする必要があるため、機能としてはもっとも負荷が高い。 ![]() 3D Y/C分離とゴーストリデューサの機能は、どうしてもつけてほしいといわれていました。もともと、SmartVisionには備わっている機能ですから、モニタ側のテレビにもこの機能がないと言うわけにはいきませんよね。 従来のモデルより画質的に向上させている点は、動画をより美しく見せている点です。 動画をより美しく見せるために、動画とパネルに着目しました。動画の映像というのはそのほとんどが中間調領域の色で占められているんですが、それをプログレッシブ変換してスケーリングすると、補間作業が発生し補間作業の結果、更に中間調領域の色がふえます。一方、パネルの応答速度が遅いと残像が見えやすくなります。残像が見えだすとそれは映像のボケにつながります。映像のボケ感などの視認性の妨害が発生すると、人の目は距離が一定でもピントを合わせようとします。そのため、疲労感や、不快感を感じるようになります。 この2点の特徴、特性に着目し、中間調領域の色に対してパネルの応答速度を早くすることで、動画がより美しくなり画質の向上を果たしました。 また、パネルとテレビでは、色再現範囲も違います。これをどうしようかと課題もありました。そこで、色空間を制御することにより見た目に印象的な再現性を持たせ、TVに近い印象にしました」 |
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モニタはPCの顔だ |
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鳴澤 「今後、PCを構成する要素のひとつとして、モニタディスプレイはとても重要なものになっていくでしょう。PCに添付されているものとはいえ、モニタを見てPCを決めることもあるくらいです。購入を決める大きな要素だと思います。だからこそ、今までと違う顔を与えるSoundVuはとても有効です」![]() ![]() ![]() 樫本 「あとは、DVDマルチドライブが増えてきたなかで、次にくるものを考えれば、当然DVDマルチプラスでしょう。DVD-RAM、DVD-R、DVD-RW、DVD+R、DVD+RWという、すべてのDVDフォーマットに対応したドライブです。ご存じのように、-VR、+VR共それぞれに得意/不得意があります。だから、現段階で最高のドライブということで採用することにしました。NECの目指すべき方向としては、陣営にこだわる事なく、周囲のAV環境にあわせて自由に利用できるようにしたいと考えています。 また、実は今回のTやTXで採用しているPC内蔵のTVチューナも、目立ちませんが、きちんと手直しが入っています。チューナユニットの見直しで耐ノイズ特性を上げ画質を向上させたり、ソフト面でも細かい強化が入っています」 ![]() そして、その製品がこの世に問われる。そこには、メーカ製のパソコンでなければ実現できない機能が数多く搭載されている。望み通りの高性能パソコンを得るためには自作しかないという潮流が長く続く中で、ある種の回帰現象が今起ころうとしている。望む機能が実現されているのなら、メーカ製がいいと考えるユーザ層。NECは、しっかりと彼らをキャッチアップしようとしている。 |
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