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ハングルやっとく? 第四章:韓国「食」事情 第二話「おなかいっぱい!!」

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第四章

第一話 第二話 第三話 第四話



上記4コママンガ内の音声マークをクリックすると音声が流れます。 Illustration by Mami Hoshi

韓国語 日本語訳
1)(オモ、マンネヨ!!)
(チャ、マニ チュセヨ)
1) 奈美さん:うわ〜、たくさん!

  朴さん:さぁ、たくさん食べて。
2)(ア、ベブロ……)
2) 奈美さん:あぁ、おなか、いっぱい!
3)(トッ イッソヨ?)
3) 奈美さん:ええ、まだあるの?
4)(バンチャンド シキカヨ?)
(ト イサン モッモゴヨ!!)
4) 朴さん:おかずのおかわりもする?

  奈美さん:もう、たくさん!!!




コラム
韓定食、医食同源の卓 著者紹介 [陳 富子(JIN,Boo-ja) 日本大学芸術学部文芸学科卒。卒業後、在日韓国人としてのルーツを求めて韓国・延世大学校言語研究教育院に留学。その後、ソウルにて日本語教師として勤務。日本帰国後には、書籍・映像の編集業を経て、現在、NPO法人 Like Water Press 代表。国際NGOとして<ファンタジー劇場キャラバン/Mobile Image Theater>などの活動を展開中。]
著者紹介 [陳 富子(JIN,Boo-ja) 日本大学芸術学部文芸学科卒。卒業後、在日韓国人としてのルーツを求めて韓国・延世大学校言語研究教育院に留学。その後、ソウルにて日本語教師として勤務。日本帰国後には、書籍・映像の編集業を経て、現在、NPO法人 Like Water Press 代表。国際NGOとして<ファンタジー劇場キャラバン/Mobile Image Theater>などの活動を展開中。] 韓国料理といえば、唐辛子を使った辛い料理というイメージがありますが、辛くない料理も多くあります。「辛い料理」・「辛くない料理」の両方を一時に味わえるのが韓定食 (ハンジョンシ)。「ヤンバン」とよばれる昔の王侯貴族が食したとされる宮廷料理の現代版フルコースです。宮廷料理のなかには唐辛子を使わない料理も多く、五味五色の調和を大切にすることでも知られます。そのため必然的に食卓にならぶ料理の数も多くなり、その流れをくんだ韓定食はおかずの数だけでも20種類以上が出されます。キムチや塩辛をはじめ、野菜の和え物、焼物、煮物、蒸物などたくさんの小皿料理と伝統菓子が食卓いっぱいに並べられ、その種類の豊富さと豪勢さには驚くばかり。

韓定食のメニューは店や地方によって多少違いはありますが、一般的に汁物2品に料理が10品前後、そのほかキムチ、塩辛、野菜の和え物が並べられ、最後にご飯と鍋、またはスープ料理 (タン) で締めというのが基本的なスタイルです。韓定食を初めて食す人にとってはその質量に驚きの連続で、奈美さんにしてもしかりです。このスタイルは本格的な宮廷料理に伝統家庭料理がミックスされた現代版で、いわゆる「宮廷的庶民料理」ともいえます。色どり豊かに旬の食材を使いながら栄養とスタミナのバランスもしっかりおさえる韓定食、ここに韓国の食文化のすべてがつまっているといっても過言ではありません。

さて、たくさんの小皿が並ぶのは韓定食にかぎりません。たくさん食べることを是とする韓国では、焼肉やスープ料理などを注文するときも、やはりキムチや小皿料理が出てきます。しかも小皿料理とご飯はすべて無料、基本的におかわりは自由です。すこし高級な焼肉店などでは小皿の数も種類もさらに豊富になり、それだけで「おなかいっぱい!」というほど豪勢なものです。

この「おかわり自由」の究極の対にあるのが、日本の懐石料理といえるかもしれません。実際、懐石料理を食した韓国人の多くがその量の少なさと高さに驚き、内心解せないようなのです。日本人は眼で食べるといわれるほど繊細かつ造形の美しい料理を好み、見た目の美しさを重視する傾向があります。一方、韓国人はその食べ物が何の素材でできているかをとても気にします。そのため美しいとされる料理でさえ、そのほとんどは素材がわかるように調理されて出てきます。韓国料理は「素材の味」と「量」が決め手、といえるかもしれません。

では、一般家庭ではどうでしょうか。たくさんのおかずを食べる習慣は家庭の食卓でも同じです。韓国料理といえば肉料理で知られますが、日常食は野菜料理が中心。そのため韓国家庭には常備菜が豊富で、そのほとんどは一時にまとめて作り置きをしておきます。たくさんの種類のキムチを筆頭に、旬の野菜を使ったナムル、さらに塩辛類、肉や魚の煮付けなども常時用意され、そこに何品か新たに作りたすというスタイルです。このように常備菜を豊富に備えている韓国の家庭では基本的に冷凍食品をあまり食べません。そのためか韓国では冷凍食品の種類が少なく、そのまま温めて食べられるものは少ないようです。しかし、こうした食生活を維持できるのも女手があってこそ。しかも韓国料理には下ごしらえに時間のかかるものが多く、手抜きできないことも。ひいては、それが韓国女性の料理の腕前が誉められる所以なのかもしれません。

韓定食にもみられるように韓国料理の基本は栄養とスタミナのバランスです。古来より、「医食同源」の思想が根づき、食べ物から健康の活力が得られると考えられてきました。実際、長い歴史の中で栄養とスタミナを保つ食と工夫が生みだされています。韓国料理の三大薬味「にんにく」「唐辛子」「胡麻油」が身体によいのはいうまでもなく、キムチやナムルなどの常備菜を備えているのも、肉も刺身などを野菜でつつんで食べるのも、さらには「漢方薬」を好んで飲むことも、すべて同じ考えによるものです。

スタミナ料理として韓国料理が紹介されるのもしかり。「参鶏湯(ゲタン)」や「補身湯(ポシンタン)」です。「参鶏湯」は高麗人参、にんにく、餅米、ナツメグ栗などを若鶏の腹につめて煮込んだスープ。かたや「補身湯」は犬の鍋料理です。韓国では古来「犬を食べると夏に負けなくなる」という考え方があり、最も暑いとされる三伏 (夏、最も暑い期間) の時期に食べる風習がありました。そのなごりで、猛暑を迎える時期、いまでも「補身湯」屋に足を運ぶ人が増えます。日本人が夏バテで弱った体力を回復させようとスッポンやうなぎを食べるのと似たような理由です。犬を食することで「補身湯」の評価は賛否両論ですが、この「補身湯」も同じように韓国伝来の「医食同源」から生まれた料理なのです。

こうして何百年、何千年と受け継がれてきた食文化の中、韓国料理は独自の健康食を生み出してきました。韓国人にとって食べることは「生きる力」であり「薬」なのです。とはいえ、それはなにも韓国人にかぎりません。どの国でも、古くから人々に支持されつづけてきた当地の食というものには「生きる素」がつまっているものです。海外では観光の前にまず「名物料理」を。これが元気な旅の秘訣です。




  ◆韓国の定番「鍋料理」


  ■キムチ鍋  (キチチゲ)
  鍋の味はキムチによって決まり、時間が経ってすっぱくなったキムチがより本格的な味になる。

  ■韓国風味噌鍋  (デェンジャンチゲ)
  甘辛い味噌の汁に豆腐や貝、豚肉などを入れて煮たもの。家庭の食卓にはよく並ぶ一品。

  ■純豆腐の煮込み鍋  (スンドゥブチゲ)
  スンドゥブとはにがりを入れる前のフワフワやわらかい豆腐をいう。
  貝や肉でだしをとり、唐辛子で味付けた辛めの鍋に卵を落として食べる。

  ■タラ鍋  (テグタン)
  タラからつくる辛い鍋。

  ■鶏肉とジャガイモの鍋  (タトリタン)
  一口大の鶏肉とジャガイモ、タマネギなどを入れ、粉唐辛子と油を加え、弱火で煮込んだもの。

  ■豚肉とジャガイモの鍋  (カジャタン)
  とんこつスープに骨付き肉とウゴジ (白菜の外側の部分) とジャガイモを入れてよく煮込んだもの。

  ■ホルモンの寄せ鍋  (コチャンジョンゴ
  牛の内臓をグツグツと煮たものに野菜、うどんを入れ、粉唐辛子などで味付けしたもの。

  ■部隊鍋  (ブデチゲ)
  韓国に駐在したアメリカ軍人が好んで食べたことに由来し、「アーミー鍋」ともいう。
   ソーセージやハムが入っていて、仕上げにインスタントラーメンを入れて食べる。

  ■海鮮鍋  (ヘルチョンゴ
  イカやエビ、貝類などたくさんの魚介類と大根を入れて煮た鍋。

  ■神仙炉  (シンソンロ)
  「神仙炉」という真ん中をくりぬいた鍋に、あらかじめ調理しておいた肉や魚介類、
   野菜などを入れ、牛肉のスープで煮て食べる。韓定食のひとつとして出されることが多い。

  ■補身湯  (ポシンタン)
  犬肉の鍋。「栄養湯 (ヨンヤンタン)」ともいう。滋養強壮や栄養補給として食べられる。
  肉は長時間煮込んで臭みを抜き、さらに大量の香辛料で味付けされているため食べやすい。





  <次回の ハングルやっとく?> 2005年2月8日更新予定。 お楽しみに!
  第四章:韓国「食」事情 第三話「食べ歩き」


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