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ハングルやっとく? 第四章:韓国「食」事情 第四話「一緒に食べよう!」

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第四章

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上記4コママンガ内の音声マークをクリックすると音声が流れます。 Illustration by Mami Hoshi

韓国語 日本語訳
1)(ナミ、ヂョムシ モゴッソヨ?)
1)朴さん:奈美、お昼食べた?
2)(アジギヨ…) 2)奈美さん:まだだけど…
3)(クロ、カッチ モグシダ!)
(アジ イラヌン チュンイ
ジャナヨ)

3)朴さん:じゃ、一緒に食べよう!

  奈美さん:まだ仕事中じゃない。
4)(トゥリソ モゴヤ
マシイッジャナヨ?)
(クロネヨ…)
4)朴さん:二人で食べた方が美味しいだろう?

  奈美さん:そうね…




コラム
「ひとり」よりも「だれか」と。 著者紹介 [陳 富子(JIN,Boo-ja) 日本大学芸術学部文芸学科卒。卒業後、在日韓国人としてのルーツを求めて韓国・延世大学校言語研究教育院に留学。その後、ソウルにて日本語教師として勤務。日本帰国後には、書籍・映像の編集業を経て、現在、NPO法人 Like Water Press 代表。国際NGOとして<ファンタジー劇場キャラバン/Mobile Image Theater>などの活動を展開中。]
著者紹介 [陳 富子(JIN,Boo-ja) 日本大学芸術学部文芸学科卒。卒業後、在日韓国人としてのルーツを求めて韓国・延世大学校言語研究教育院に留学。その後、ソウルにて日本語教師として勤務。日本帰国後には、書籍・映像の編集業を経て、現在、NPO法人 Like Water Press 代表。国際NGOとして<ファンタジー劇場キャラバン/Mobile Image Theater>などの活動を展開中。] 韓国に留学していた当時も、日本に帰国した後も、親しい韓国人との電話でまず聞かれるのは「ご飯、食べた?」という質問です。別に食事時の電話にかぎったことではありません。「食べる」ことをなにより大切にする韓国人にとって、きちんと食事しているかどうかは、そのまま相手の心身の健康を知るよすがとなるのでしょう。彼らにとって、おそらくそれは時候の挨拶より大切な確認事項なのです。

さて、営業で外回りをしている朴さんが奈美さんに最初に尋ねたのも「お昼、食べた?」でした。仕事中の朴さんに昼食に誘われた奈美さんは少し怪訝そうですが、韓国人はよほどのことがないかぎり一人で食事するのを好みません。「ひとり」よりも「だれか」と、ないしは「みんな」で一緒に食べることを好みます。営業や外回りのときは取引先の人と一緒に食べにいくパターンが多いようで、やむなく一人で食べるときは「技士食堂 ( キサシクタン)」などを利用します。この「技士食堂」というのは、交替時間の不規則なタクシーやトラックの運転手さんご愛用の食堂で、一人専用の食堂のようなものです。また友人たちと飲んで小腹が空いたときも、日本人のように帰りがけにラーメン屋やファミリーレストランで軽く食べてくるということはしません。家に辿りつくまで我慢し、家人のもとでしっかりご飯とおかずを噛みしめるのです。このように基本的に「だれか」と食べたがる、もしくは連帯したがる傾向を知るたびに「韓国人は人一倍さみしがり屋なのか?」とよく思ったものです。

一人で食べるのを嫌がる姿勢は、おざなりに食べるのを嫌がることも意味します。韓国では日本の地下鉄やバスのなかで見かけるような「ながら食い」や「歩き食い」の姿はほとんどみられません。移動中にハンバーガーやおにぎりをほおばって食事をすませるなどはもってのほか、たとえそれが間食であってもそれを味わう時間が必要なのです。いくら時間がなくても、しっかりご飯はとらなければいけない、この発想ゆえに「食」にかける思い入れはたいへん強く、それがあれだけたくさんのおかずを整える韓国の食卓風景を導きだしたのかもしれません。

そんな韓国人にとって、日本の「立ち食いそば屋」の光景などは信じられないでしょう。10分で食べられるなら立ってではなく座って食べたい、もしくは立って食べるくらいなら座って食べられる状況になるまで食事を我慢する、というのが韓国人です。アジアの他の国ではヒットした牛丼屋のチェーン店が韓国で流行らないのも、日本や中国ほど外食産業が発達しないのも、「ひとり」で外で食べる習慣が少ないことに起因しているのかもしれません。

とはいえ、時間的にも思考的にもスピーディな時代に生きているのは韓国人も変わりありません。そこで発達したのが出前文化です。「一人で外食するのはちょっと……」という韓国人にとって出前は格好の食事形態で、会社や家庭では昼食に出前を注文することがよくあります。

出前の種類も中華料理や韓国家庭料理はもちろん、ピザやチキン、豚足や弁当、コーヒーや軽食・夜食などバラエティー豊富で、明け方まで営業している店も少なくありません。オフィス街などでは食堂をかまえず配達専門で運営している店もあるくらいです。なかでも中華料理は出前の代名詞といわれ、住宅街やオフィス街では食事時にもなれば中華料理の出前を急ぐオートバイの音があちこちから聞こえてきます。手軽に食べられる中華料理は多忙な生活をする人々に好まれ、店での注文よりも出前の注文を優先にしている中華料理店もあるほどです。

かたや若者のあいだで浸透しはじめているのがコンビニの食事です。1989年に1号店が登場して以来15年、全国に8000店を超えるまで成長しました。最も店舗数が多いのは「ファミリーマート」、その他に「セブンイレブン」、「ミニストップ」、韓国系の「LG25」、「Buy The Way」などがあります。

コンビニは韓国語でその名も「便宜店( ピョニジョ)」。24時間営業、外も内も日本のコンビニとほとんど同じです。店内に設置されたテーブルカウンターにはレンジや給湯器も備えられ、カップラーメンをはじめ簡単な食事が食べられるようになっています。

またコンビニのメニューといえばB級グルメの代名詞といわれ、その代表格が「韓国おにぎり( ガッキンバ)」。90年代初頭に発売された頃のサガッキンバは人気があるわけでもなく、ただの「黒い三角形のご飯」でしかありませんでした。ところが韓国のセブンイレブンが日本のコンビニの製法を取り入れてキムチとツナを合わせた具を考案し発売したところ、これが大当たり。各コンビニがそれにならって次々と新メニューが発売されつづけ、いまやサガッキンバの売上げはカップラーメンをしのぐほどになりました。

このコンビニの急成長の裏で消えつつあるのが、 クモンカゲです。クモンカゲは「穴の店」という意味で、街角に立つ小さな雑貨店をいいます。韓国版元祖コンビニともいえる存在で、以前は路地のあちこちでみられました。5年後、あるいは10年後、かつては路地の風物として慣れ親しんだクモンカゲがすっかりその姿を消してしまうとき、韓国の食文化も大きく様変わりしていることでしょう。けれど願わくば、「ひとり」ではなく「だれか」と食べる習慣は変わらずにあってほしいと思うのです。快活な食事風景はエネルギッシュな一枚の風景画にも等しく、観る者に「生きる糧」としての温もりと活力を与えてくれる、そう信じているからです。


  ◆味覚の表現


  美味しい (マシッタ)

  まずい (マドタ)

  辛い (メタ)

  苦い (スダ) 

  甘い (タダ)

  すっぱい (シダ)

  脂っこい (ヌッキハダ)

  薄い/淡泊だ (シンゴタ)

  濃い/塩からい (チャダ)

  あっさり(さっぱり)している (シウォナダ)



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