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「え、なんだい、なにが写ってたんだい」 「駅前のお店に、だれだっけ、ドラマでよく見るおねえさんが……」 「おっと、そういう時は、『タイムシフトモード』の機能を使って……」 「まぁ、今放送してたとこが、すぐ巻き戻して見られるのね。録画していたの?」 「いや、録画してなくても、設定してある分だけ、さかのぼって見直すことができる機能がついてるんだよ。受信した映像は、決められた分だけ、いったんHDDに仮保存されてるんだ」 |
「ほんと? よくわからないけどスゴイじゃない。これなら、私がキッチンに食器を片づけにいった間の放送も、スグ見ることができるのね」 「そう。これこそパソコンならでは! の機能だね。やり方も簡単で、リモコンの『巻き戻し』ボタンを押すだけ。初めてテレビを見た時は『ライブモード』になっているけど、リモコンの『ナビ』ボタンを押して、でてきた項目の中から『タイムシフト切り換え』っていうのを選んで決定を押すとタイムシフトモードになるんだよ」 「どこまで巻き戻せるの?」 「うーん、買った時の設定では1時間分だと思うけど、90分まで増やすこともできるみたいだね。設定を変更するには、『SmartVision』で設定を替えないといけないんだけど」 「あ、そこで一時停止して!」 ママに言われて、パパはあわてて『再生/一時停止』ボタンを押しました。 「まぁ、仲間由紀恵さんかしら。ほんとに駅前の商店街だわ。あ、あのパン屋さん美味しいのよ。へぇぇ、新番組のドラマの宣伝なのね。しかも、生放送よね、これ!」 もう一度、同じボタンを押すと続きがはじまりました。 「え、ということは、今、あの店に仲間由紀恵が来てるってこと? 行ってみようよ〜」 「ちょ、ちょっと待てよ。まだテレビパソコンの使い方、途中だぞー!」 「見る方法はだいたいわかったから、またあとでねー!」 |
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「3人とも素早いですね〜。おじいちゃんは行かなくて良かったんですか?」 「ワタシはミーハーじゃないからな」 「仲間由紀恵、美人だなぁ。しかし、ほんとにすごい人だかりですね。あの商店街、土曜日はけっこう買い物客がいるんですね〜。ぼくも行けばよかったな」 「……おい、広一くん、ママが写ったぞ」 「ええ? もう商店街に到着したんですか」 「ほら、あそこ。おばあちゃんも! あ、カメラが切り替わった……。なんでもいいから、録画だ広一くん!」 「よっし、こういう時こそ、ふたたび『タイムシフト』。巻き戻したとこから録画ができる『さかのぼり録画』の出番ですよ……」 「おおお、二人の間の髪の毛は、あれは七海の頭じゃないのかね?」 「惜しいっっ! 背が低いから、ちょうど画面から切れちゃってますよ!」 「これじゃ、七海の顔が写らんじゃないか。よぉし、広一くん、カメラのアングルを下げるんだっっっ」 「はいっっ、リモコンの十字キーで↓(下)を連打っっ……」 「まだ、下がらんっ」 「……って、そんなことできるわけないじゃないですかっっっ!」 「う〜ん、そういうテレビパソコンはないのかねぇ」
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