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「いっただきまーす!」 「今日のごはんは、あれれ、これってカップにパイがかぶさっているよ」 椎名さん一家は、広一パパと春菜ママ、小学校二年生の七海ちゃんの三人家族。土曜日にはいつも、ママの実家でお昼ごはんをいただきます。 「ポットパイですよ。料理番組を録画して作り方を覚えたのよ。ほら、パイをくずすと、中には七海ちゃんの大好きな……」 「あ、シチューがはいってた。手品みたいなごちそうだねぇ」 「手品といえば……ちょっとみんな、こっちに注目してごらん。ほ〜ら、取りいだしましたるスプーンでパイをくずすと中から……」 「あああ、おじいちゃん、スゴイ! パイの中から花が!」 「手品は食事が終わってからにしてくださいよ」 「わわっ、私のには、ブロッコリーがっっ」 「パパ、それはシチューの具よ。おじいちゃんのおかげでパパまでふざけちゃって」 「ねぇねぇ、ママのパイには何がはいっているの?」 「七海ったら、そわそわしないでちゃんと食べなさい」 「おじいちゃん、どうやったの? 教えて、教えて」 「先日、手品の番組を録画してね。繰り返し見て、覚えたんだよ」 「手品の番組? 見た〜い。そしたらこの、取りいだしましたるパソコンのリモコンで……。えいっと、リモコンの『ビデオ』のボタンを押して、出てきた録画のリストから番組を選ぶと、あ〜ら不思議……、ずいぶんたくさん録画されてるよ。どれが手品の番組なの?」 「七海っ! リモコンで簡単に見られるからって、種明かしは食事のあとにしなさいよっ!」 |
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