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「いただきまーす。これって醤油味のロールキャベツなんだね」 「あっさりした和風出汁で、優しい味だなぁ」 「1月はお節に新年会と御馳走が続いたでしょ。そろそろ胃も休ませてあげないとね」 椎名さん一家は、広一パパと春菜ママ、小学校二年生の七海ちゃんの三人家族。土曜日にはいつも、ママの実家でお昼ごはんをいただきます。今日はおばあちゃん直伝の和風ロールキャベツ。ママもいっしょに作りました。 「そうよ、おじいちゃんたら、昨日の町内会の会合でも、ずいぶん飲みすぎたみたいですものね」 「むうう、おばあちゃんがバラしたな。たしかに、まだちょっと二日酔いなんだ。だから、こういうのがいいんだよ。そういうママだって、ここのところ、よく飲んでるみたいじゃないか」 「え? 誰に聞いたの? パパ?」 「ま、まさか! 僕はそんな話、してないよ」 「ズバリ! 木曜日はPTAの親睦会で、火曜日は友達とカラオケだったんじゃないかな?」 「えええー、やっぱりパパが話したのねー?」 「わっはっは。やはり大当たりか。でも、広一くんから聞いたんじゃないよ。私の推理によると、月曜日のお昼は、駅前のファミレスで980円のランチを食べただろう?」 「どうしてそんなことまで。それは、たしかにパパも七海も知らないはずなのに……」 「おじいちゃんって、名探偵みたいだねー」 「ふふん。種明かしをするとね、ママ以外にも、全部の集まりに共通する出席者がいるだろう?」 「あー、もしかして秋川さんね。でもおじいちゃんて、彼女と顔見知りだった?」 「いやいや、秋川さんという名前は知らなかったんだがね、ネットで町内会の話題を検索していたら、偶然、ある日記を見つけてね。読んでたら、『涙そうそう』『川の流れのように』を熱唱して、しまいにはモー娘。を歌い続けたかわいい友人が登場するじゃないか」 「なにそれー。それってまったく私のことだわ。秋川さんたら、そんなことまで日記に書いてるの?」 「なんだか、流行のブログってヤツらしいね。そうそう、広一くん、キミにはライカはまだ早い」 「うわぁ、ボクのブログも発見されてるってことですね!」 「あなたまで、ネットで日記をつけてたの? そういえば、去年、『鬼嫁日記』なんていう、ネットの日記に奥さんの悪口を書いてるテレビドラマがあったわね……」 「大丈夫だよ、ママ。広一くんのブログには、ママは一度も登場しとらん」 「それはそれで、なんだかムカついちゃうー」 |
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