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「おお、美味しそうなニオイがしているね」 椎名さん一家は、広一パパと春菜ママ、小学校二年生の七海ちゃんの三人家族。土曜日には、いつもならママの実家でお昼ごはんをいただくのですが、今日は、七海ちゃんのおうちにおじいちゃんとおばあちゃんがやってきました。今日は、ママが腕をふるい、七海ちゃんもお手伝いに大忙し。 「もうちょっと待っててネ! もうすぐできるから」 ママは、おじいちゃんたちに声をかけました。 「食事ができあがるまで、お見せしたいものがあるんですよ!」 パパがおじいちゃんを案内したリビングには、真新しいパソコンが……。 「おっ、とうとう買ったんだね。新しいパソコン」 「そうなんですよ。なにせ、Windows Vista搭載マシンですから」 「ああ、話題になってたビスタだ、ビスタ。広一くんは、ほんと新しもの好きだなぁ」 「おじいちゃんほどではないですけどね」 「なんだか、ずいぶん画面がキレイに見えるなぁ」 「印象がちがいますよね」 「で、なんていうんだっけこれ。えーっと、綱引きだったっけ、オーエス、オーエス」 「OS」 「そうそう。OSだ、OS」 「OSはオペレーティング・システムってことで、コンピュータ全体を管理しているソフトのことですよ。ビスタはマイクロソフト社が開発した一番新しいOSですから」 「で、どこがどう新しくなったんだっけ」 「一番、楽しいのはですね……。たとえば、ぼくなんか、しょっちゅう、こういうことをやってるんですけど……ホームページを作っている時とかって、メールチェックしながら文書を書いて、ネットを見て、こっちのソフト使って、デジタルカメラの画像を修正してたりして、いろんなウインドウを一緒くたに開いていたりしますよね」 「あー、あるある。処理中の書類を山積みしたみたいなもので、ウインドウがたくさん重なっちゃって、どこにあるか、わからなくなるんだな」 「ぼくなんか、3つ以上開くと、もうわからなくなってきますね」 「そうそう、画面を切り換えようと思っても、閉じるわけにはいかないし。ひとつひとつ小さくするのが、また面倒なんだ」 「それがビスタなら」 そう言いながら、パパはキーボードのWindows()キーとTabキーを押しました。すると、開いているウインドウが斜めから立体的に眺められるようになりました。 「おおー」 「ね、楽しいでしょう」 パパは、マウスのスクロールホイールをクルッと操作しました。画面もそれにあわせてスムーズに入れ代わります。 「手前にしたいウインドウが前にきたところでキーを離すと」 「お見事!」 「という具合なんですよ。もちろんXPでも、複数の画面を開いている時に簡単に切り換える方法がありましたけど……」 「え、知らないぞ。どんな風にやるんだ」 「えーっと、ビスタでも同じなんですけど、『Alt』キーと『Tab』キーを同時に押すと、開いているソフトのアイコンが並んでいるのがでてきて、それを選んで切り換えるんですよ。でもXPでは、表示されるのはアイコンだけだから、使ってるソフトが同じだと、全部同じマークになっちゃうので……」 「そうそう。これは、『ウインドウズフリップ』っていう機能なんです。さっきの立体で切り換えるのは『ウインドウズフリップ3D』。たぶん3Dが、一番わかりやすいし早く選べますよね」 「うん。あちこち探しまわって、閉じたり開いたりする時間というのも、案外バカにならないからな」 「それから、最小化して、タスクバーだけに表示されてるソフトもありますよね。そこに、マウスポインターをのせると、やっぱり小さな画像がチョコッと表示されるんですよ。これは『ライブタクスバー』っていう機能なんですけど」 「いろいろ、便利になっているんだなぁ。この右側のはなんだね」 「これは、ガジェットっていうんですけど」 「時計や画像がみえてるな」 「会社の机でも、よく使う文房具は、引き出しにしまっておくより、トレイにでもまとめて入れて、机の上に置いておくほうがサッと使えて便利ですよね。それと同じで、電卓とかメモ帳とか付箋とか……」 「いちいちスタートから起動するのは面倒だけどあると便利で、ほかのソフトほどオオモノでないものを、ひとまとめにしておくわけか」 「人によって、よく使う文具はちがいますよね。サイドバーの上の+を押すと、『ガジェットギャラリー』っていうのが開いて、いろんなツールがでてくるんです。それで必要なヤツをクリックすると新しく登録されるんです。オンラインからいろいろなツールを追加することもできるんですよ」 「選り取り見取りってこういうことだな」 「最初はたくさん登録しがちですけど、使っているうちに必要なのとそうでないのが、わかってくると思いますよ」 ちょうどその時、ママがみんなに声をかけました。 「できたわよ! さぁどうぞ」 ママが熱い紅茶を入れました。テーブルの上には、イギリスのアフタヌーンティーで使われる三段重ねのティースタンドが並んでいます。透明なお皿の上には、色とりどりのサンドイッチやスコーンが美味しそうに盛られています。 「おおっ、確かに、重なってるお皿も透明だったり横から眺めると、どこにスモークサーモンのサンドイッチがあるのか、すぐわかっていいな。パクッ」 「エアロ効果ってヤツですね!」 |
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