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「うーん、まだ、1本しか作業が進んでいないからな。山積みにしていても、じゃまなばっかりだ」 「とりあえず、またミカン箱にしまっておきますか?」 「そうだな」 「DVDにしてしまえば、ずいぶん場所は節約できますけどね。CDと同じサイズになりますから、本棚に並べてもいいし……3枚分になってもビデオテープの幅に比べたら半分以下ですし。」 「まぁ、厚みがちがうからな。棚に一列に並べたらずいぶんスッキリするものな。それに、いつ劣化するかわからないビデオテープのままよりも、デジタルデータにしておけば、加工もできるし、保存も場所をとらないわけだから」 「それが、アナログをデジタルにする大きなメリットですよね」 |
そこに、またママが声をかけました。 「この部屋の掃除、最後はその場所だけなんですけど……」 「すまんな、もうすぐ終わるから……」 「いやぁ、ビデオから映像を取り込むのって、結構時間がかかりますね」 「今日のところは、これぐらいであきらめるか。年末年始のたっぷり時間のあるときに、じっくり作業するとかが良さそうだな」 「思ったんですけど……。ラベルに書いてある内容で、ある程度判断して、取り込む前にいらなさそうなものは、スッパリあきらめるってことも必要かもしれませんよ」 「……ううむ。そうだな、いまさら、『太陽にほえろ!』を見直すこともないだろうし。こういうのは削除してしまってもいいわけだし」 「え、『太陽にほえろ!』ならぼくにください! 貴重なお宝映像ですよ。それに、このCMも」 「おおっ、キョンキョンか。若い頃の貴重な映像ってワケだな」 「もうぜったい捨てちゃダメですよ」 「広一くん、……そう身を乗り出すなよ。そうはいっても整理して捨てないことには」 「……ぼくがやらせていただきますから……」 「そしたら、君の家に持って帰って、欲しいのを取り込めばいいよ。このビデオテープ全部、持ってってくれれば、ウチもスッキリするし」 「ありがとうございます。いやぁ、楽しみだな〜」 と、おじいちゃんとパパの取引も成立したようです。そこへ、大掃除が終わって、ママや七海ちゃんがやってきました。 「パパ〜、ビデオの片づけはすんだ? そろそろ帰らないと」 「ああ、いいよ。だいたいなんとかなったから」 「へぁ、押し入れ、キレイになったねー」 「ほんとに助かりましたよ」 「それじゃ……ぼくたちは、これで。……よいしょっと」 「え、その荷物……持って帰るの?」 「おじいちゃんのビデオテープ、もらったんだよ」 「え、そんなにたくさん? だって、ウチだって、これから大掃除するのよ」 「え〜、いいじゃないか。だって、懐かしいテレビ番組がたくさん録画されているよ」 「ウチの押し入れにはあなたのテープだってたくさんはいってるのよ」 「一箱ぐらいいいじゃないか」 「ダメ。ぜったい、捨てなきゃダメ!」 「そんなあ。なんとかカンベンしてくれないかなあ」
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