尾瀬観光の拠点あるいは駒ヶ岳登山の入り口として知られる檜枝岐村。最短の東北道西那須野塩原 IC からでも約2時間というまさに“陸の孤島”だ。この地に古くから伝わるのが山人料理。山人とは、山にこもって狩りに明け暮れ、木を切り、しゃもじや曲げ輪っぱなどの木工製品を作って生計を立てる人たちの地元での呼び名。彼らが常食としていたのが山人料理だ。今回、民宿「別館かどや」を営む平野良中さん・八千代さん夫妻に再現してもらった。
檜枝岐村の標高は約950メートル。高地とあって水温が低く、しかも荒れ地が多いためにここでは米が作れない。県内でも水田のない市町村はここだけといわれている。昭和 20 年代頃までの主食は、蕎麦と稗、粟などの雑穀類。タンパク源は、マタギがとってきた熊やカモシカ、山ウサギ、テンなどの獣肉や、イワナなどの川魚である。米のご飯が口に入るのは、冠婚葬祭の時ぐらいだったという。 |