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「先週、注文したパソコン、もう届いてるんでしょ? パパ、パソコンの設定とデータの移行、終わった?」 「おお、やっと来たか。ほら、見てごらん。カッコいいだろー? ところで広一くん、まだ終わらないかね」 「はぁ、あと少しだと思うんですけど」 「なーんだ、パパったら、午前中からかかって、まだやってるの? カンタンだ!なんて強がってたけど、やっぱり、メールアドレスとかのデータ移行は、プロにおまかせしたほうが良かったんじゃないのー?」 |
「いや、データ移行は『データトラベリング』ってソフトを使って、もうとっくに終わっているんだけどね」 「あら、それじゃいったい、何に時間がかかってるの?」 「これ、見た目テレビみたいだろ。だから、リビングのどこに置いたって、ぜんぜん違和感ないと思うんだよね。でも、置いてみないとわからないって、最初はサイドボード、次はあっちのカウンターの上、それから、電話の横で、今度が出窓……」 「まぁ、リビング一周ってわけね」 「うーむ、広一くん。やはりこっちの窓際だな。いや、そこじゃなくて、あと15センチ窓に寄せて」 「またですか。もうこの場所で決めましょうよ。この液晶、ナナメから見てもキレイな『スーパーシャインビューEX2液晶』なんですよ。トホホ、また持ち上げるのか〜」 「それにしても、予算の35万円におさまってよかったわね〜。先週、注文している時は、おばあちゃんと二人でハラハラしてたのよ。予算オーバーしたらどうしようって」 「それは広一くんが妥協せず最高を求める男だからな。ワタシもそれを見習って、1ミリたりとも妥協しないで、このソファから画面が一番美しく見えるポイントに、愛機を設置してもらおうと思ってね」 「もう、アッサリ決めてあげたら? イクラこだわリがあるにしたって、ヤリすぎはイカがなものかしら……」 「あははは、ママにはかなわないな。寿司ネタでこられちゃあ、いつまでもブリブリしてると大人げないカニ?」 「ほら、パパも謝って……」 「そろそろ、かんぴょうしてください……」
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