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「新選組が話題になっちょるが、歴史の本流はこっちじゃけえ」 町で出会った70歳の男性は、新選組の話になると少し語気を荒げた。山口県の萩は、日本海に注ぐ松本川と橋本川に挟まれた三角州に開け、その最西端、指月山に萩城跡が位置している。城下に広がる古い町並みを目指して、山陰本線の東萩駅を起点に歩き始めた。
この町は、吉田松陰をはじめ、高杉晋作や伊藤博文、山県有朋、木戸孝允、久坂玄瑞など幕末から明治にかけて活躍した倒幕派の若者たちを生んだことで知られ、新選組とはいわば敵同士。NHK大河ドラマ「新選組!」について町の人に聞くと、「あれは物語だから」などと言いながらも、やはり面白くない気持ちはあるようだ。
もともとは毛利36万石の城下町として栄え、慶長9年(1604)に毛利輝元が萩城を築いてから開府400年を迎えた。 |
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駅からすぐの萩橋を渡り、南へ20分ほど歩くと、藍場(あいば)川にぶつかる。このあたりは、城下の風情を色濃く残し、観光客も少ないので散策するには最適だ。武家屋敷や明治、大正と3回総理大臣を務めた桂太郎の旧宅が無料で公開されている。
藍場川に沿って西へ歩くと、三角州の中央には、高杉晋作や木戸孝允の旧宅があり、土塀や白壁に囲まれた武家屋敷の町並みが広がっている。風情ある路地を気ままに歩くのがここでの楽しみ方だ。
「長年住んでいても、慣れない道を通ると、この路地いいなあと新たな発見がある」と萩の魅力を語るのは、萩観光ボランティア協会事務局長の須山義厚さん。「江戸時代の地図がそのまま使える全国でも珍しい町。古地図を片手に歩くと当時の城下を歩いているような気がします」と話す。町割だけでなく呉服町や細工町、樽屋町などの古い町名が数多く残っているのも特徴だ。古地図(200円)は町の中央にある市役所で手に入るので、立ち寄ってみよう。
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