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あなたの山歩きがパソコンでさらに広がる 山とパソコン 11月号 毎月1回更新 監修 山と溪谷社 山と溪谷社
 
1.誰にも負けない!山のデジタル写真 第2回 デジタルカメラの実践撮影法 監修:畠山高
 
 手軽で簡単に写せるコンパクト・デジタルカメラは、山歩きに持っていくのにもぴったりです。ところが、「コンパクト・デジタルカメラでは簡単な記念写真程度しか撮れないのでは」と思っている方も多いようです。でも、ちょっとした注意と努力で、もっと気に入った写真が撮れるようになります。
 
デジタルカメラとフィルムカメラの違い

  「どうしてもボケたような不鮮明な写真になってしまうことが多い」という場合のほとんどの原因はピンボケよりも手ブレ(カメラブレ)です。小型で軽いために、かえってブレやすいのがコンパクト・デジタルカメラの弱点です。ブレを防ぐだけで、格段に鮮明な写真が撮れるはずですから、慎重に撮影しましょう。

  とくに、手を伸ばして液晶モニターを見ながら撮るとカメラが安定せず、シャッターを切ったときにブレやすくなります。ブレを防ぐためには、上腕は伸ばさずに脇をしっかり締めて、カメラを確実に保持しましょう。
  ファインダーを使って撮影する場合にも、両脇をしっかり締めてカメラを安定させます。このとき、カメラを保持している左手を顔につけるようにすると、より安定します。 

なお、ファインダーで見る像と実際に写る像とでは位置のズレ(視差・パララックス)があります。これはファインダーと撮影レンズが別になっているからです。風景などの遠距離ではあまり問題になりませんが、近距離になるほどこのズレは大きくなりますから注意が必要です。液晶モニターは撮影レンズからの像を映し出しているので、ズレはありません。
A液晶モニターで撮る Cファインダーで撮る(ヨコ位置) Bファインダーで撮る(タテ位置)
 
 
オートフォーカスを使いこなす

 コンパクト・デジタルカメラのピント調節は、超小型タイプはほとんどがオートフォーカス(AF・自動焦点調節)のみ、やや大きめのタイプだとオートフォーカスとマニュアルフォーカス(MF・手動焦点調節)の両機能を搭載している機種があります。「どうも、ピントがうまく合わない」というのであれば、オートフォーカスの使い方がよくないのかもしれません。

  コンパクト・デジタルカメラでは、通常は画面の真ん中にピントを合わせるための小さな範囲(フォーカスフレーム)があり、この範囲に入った被写体に自動的にピントが合うようになっています。ですから、主要な被写体が画面の真ん中にあればよいのですが、構図の都合などで被写体がフォーカスフレームからズレている場合に、そのままシャッターを切ってしまうとピンボケになってしまいます。そんなときには、まず被写体をフォーカスフレームに入れてシャッターボタンを半押ししてピント位置を固定(フォーカスロック)し、半押しのまま構図を移動させてシャッターを切ります。

  つまり、どこにピントを合わせるかを考えて、シャッターボタンの半押しによるフォーカスロックを活用するのが肝心です。

  また、オートフォーカスといっても万能ではなく、白壁や黒い壁のように極端にコントラストの低い被写体や画面に強い光が直接入ってくるような状況ではピントが合いません。そんなときには同じ距離にある別の物でフォーカスロックして撮影します。
真ん中でピントを合わせる 真ん中でピントを合わせる フォーカスロックしてずらす フォーカスロックしてずらす
真ん中でピントを合わせる 真ん中でピントを合わせる フォーカスロックしてずらす フォーカスロックしてずらす
 
露出補正で正しい明るさに調節する

 コンパクト・デジタルカメラは、写される画像の明るさを決める露出調節も自動です。カメラ内のコンピューターが膨大なデータに基づいて状況に応じた露出を決定しますから、ほとんどの被写体に対して適正な露出が得られるはずです。しかし、極端に明暗差のあるもの、極端に反射率の高い鏡状のもの、真っ白や真っ黒なものなどに対しては、思ったような明るさに写らない場合があります。どうしても、白いものはアンダー(暗い)気味に、黒いものはオーバー(明るい)気味に写りがちです。

  そこで、露出がむずかしそうな場合には、まず自動露出(AE)のまま写して液晶モニターで明るさを確認しましょう。明るすぎたらマイナス露出補正、暗かったらプラス露出補正します。何枚か露出補正を変えて撮っておくとよいでしょう。露出補正機能はほとんどのコンパクト・デジタルカメラに装備されていますから、使い方をよく覚えておきましょう。

  また、意図的に被写体をオーバーにあるいはアンダーにする際にも露出補正機能を使います。
自動露出で雪がグレーになってしまった プラス1補正して雪が白くなった
 
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コンテンツ
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用語解説
ブレ
シャッターボタンを押したときにカメラが動いてしまう、あるいは体ごと動いてしまい写真がブレてしまうのが手ブレ。カメラブレともいう。三脚などでカメラをしっかり固定するか、速いシャッター速度で写すことで防げる。
もうひとつが被写体ブレ。風や振動などで被写体が揺れてしまい、写真がブレてしまう。揺れが止まるまでシャッターチャンスを待つか、速いシャッター速度で写すことで防ぐ。

オートフォーカス(AF)
カメラのコンピューターがピントを判断して、ピントのあった位置にレンズを駆動する機能。いろいろな方式があるが、コンパクト・デジタルカメラではレンズで結ばれる画像のコントラストからピント位置を検出する方式が多い。

マニュアルフォーカス(MF)
手動でピントを合わせる方式。三脚にカメラを固定してマクロ撮影するような場合には、手動のほうが確実にピントを合わせられる。ただし、この機能を搭載しているコンパクト・デジタルカメラは少ない。

じどうろしゅつ
写す画像の明るさを決める露出は、レンズの絞りとシャッターの速度で決定される。自動的に露出を決定する機構は、大きく分けて下記の3種類がある。被写体の明るさに応じて、絞りとシャッター速度の組み合わせが自動的に変化するのがプログラムAE。セットしたシャッター速度に対して絞りが自動的に変化するのが速度優先AE。セットした絞りに対してシャッター速度が自動的に変化するのが絞り優先AE。高級機では各種の自動露出機能やマニュアル露出機能を備えた機種もあるが、コンパクト・デジタルカメラではプログラムAEのみを搭載した機種がほとんど。

ろしゅつほせい
カメラが自動露出で決定あるいはマニュアル露出で指示した露出値よりも明るくあるいは暗く写すために、露出を変化させること。明るくするのをプラス補正、暗くするのをマイナス補正と呼ぶ。絞りあるいはシャッター速度の1段分を1と数え、プラス1、マイナス1のように呼ぶ。1以下の値は、機種によって調節できる範囲が1/2ずつ(1/2ステップ)あるいは1/3ずつ(1/3ステップ)に決まっている。

ひしゃかいしんど
厳密には被写体をレンズが結像させる(ピントを結ぶ)のは1点だが、ピントを合わせた点の前後の見かけ上でピントが合っていると見なされる被写体の距離範囲を被写界深度あるいは被写体深度と呼ぶ。レンズの絞りを絞るほど深度が深くなる。そのため、プログラムAEであれば、明るい被写体ほど深度が深くなる。また写る像が大きいほど深度は浅くなるので、広角レンズは深度が深く、望遠レンズは深度が浅いともいえる。マクロ撮影でいえば、拡大するほど深度が浅くなり、シビアなピント調節が必要になる。

カメラアングル
被写体に対するカメラの上下角度のこと。上から見下ろすのがハイアングル、低い角度の場合をローアングルという。自然に見た感じよりも上からならハイアングル、自然な感じよりも下からならローアングルというように、多分に感覚的な言い方。

 
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