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ほとんどのコンパクト・デジタルカメラはマクロ機能を備えています。通常撮影では被写体から50センチくらいの距離までしか近寄れませんが、マクロ機能を使えばもっと近寄ってもピントが合います。機種によっては、2〜3センチまで寄れるものもあります。
マクロ撮影で注意が必要なのが、ピントとブレです。コンパクト・デジタルカメラは35mm判フィルムカメラに比べれば被写界深度(ピントの合う範囲)が広いのですが、それでも、マクロ撮影ではごく狭い範囲しかピントが合いません。ですから、オートフォーカスでピントを合わせても、わずかに体が前後に動いただけでピントがずれてしまいます。しっかりカメラを保持し、息を止めてシャッターを切りましょう。できれば、三脚にカメラを固定して撮影します。そして、1枚だけでなく、同じ状態で何枚か写しておいて、よいカットを後で選ぶとよいでしょう。
ブレには手ブレ(カメラブレ)と被写体ブレがあります。手ブレは三脚を使用するなどで防げますが、風などで被写体が揺れて起きる被写体ブレは問題です。なるべく早いシャッターを切るためにIS0感度を上げ、風が止むのを待ちましょう。
高山植物の花は小さなものが多いので、カメラ位置のちょっとした変化で写した写真の印象がかなり変わってきます。カメラアングル(撮影角度)と撮影方向をいろいろ変え、また、画面内の花の配置も考えて写してみましょう。たとえば、花一輪だけを撮るときには花を真ん中ではなく、花が向いている方向を若干あけると安定した構図になります。
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コンパクト・デジタルカメラに付いているズームレンズは35〜105mm(35mm判換算)程度のものが多いのですが、広角側は28mm(35mm判換算)くらいあると広い風景が撮れます。新しく購入するのであれば、この点をぜひ選択基準に入れてください。また、コンバーターが装着できる機種であれば、ワイドコンバーターを使用するとよいでしょう。
山に限らず、自然の風景は気象や光の状況、空や雲の状態などによってさまざまな表情を見せてくれます。その変化の一瞬一瞬がシャッターチャンスであり、いかに自然の表情をとらえるかが撮影の醍醐味です。その意味で、陽の光が刻々と変化する朝夕が風景写真のねらい目といわれるのです。シャッターチャンスを逃がさないようにカメラをスタンバイさせておきましょう。
なお、遠景を撮る場合は、遠景モードを使う(搭載されていれば)とよいでしょう。
シャッターチャンスをとらえるにもズームレンズは便利です。広い風景を写し、次にアップで山の一部分を切り撮るというような操作が一瞬でできます。広角から望遠まで、いろいろな画角で写してみましょう。
画面構成の基本は、前景・中景・遠景をほどよく配置することで、それによって写真の遠近感が強くなります。また、無駄なものを省いて主題をはっきりさせることが大切です。あまりよくない例として多いのは、空のスペースの入れすぎです。きれいな青空だからといって、入れすぎては主題がぼやけてしまいます。
ただし、あまり理屈にこだわってむずかしく考えていると写真を撮りにくくなってしまいますから、いいなと感じたら、まずシャッターを切りましょう。たくさんの写真を撮ることが、写真技術上達の秘訣のひとつです。そして、撮った写真をじっくりと見直して、どうすればもっと気に入る写真が撮れるかを考えることが大切です。 |
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◎もっと詳しくは、山と溪谷社刊・畠山 高著『今から始める 山のデジタル写真』(本体1500円+税)をご覧ください。
畠山 高(はたけやま・たかし)
1954年、秋田県生まれ。著書に『剣岳』(山と溪谷社)、『わが剱岳』(東京新聞出版局)など。写真家、パソコンインストラクター、日本山岳写真集団同人。
http://www.b-mountain.com/ |
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