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パパとママは帰宅して、さっそく迷惑メールの設定をしはじめました。
「迷惑メールはこれでしばらく様子をみることにして、次は同窓会のメールを分けるのね」
「みんなに協力してもらって、メールの件名のはじめの部分を、たとえば『同窓会』とか、同じものにしておくといいよ。メールソフトのOutlook 2003ならメニューバーにある「ツール」の中の「仕分けルールと通知」って機能を使えば、受信したメールの件名に同じ単語が入ってるメールを、自分で決めたフォルダーに振り分けることができるんだ」
「あ、そうなの? そうすると、重要なメールと迷惑メールを自動的に分けることができるのね」
「はじめての人からもらったメールを見落とすとたいへんだから、確認はしないといけないけど、かなり整理が簡単になると思うよ」
「メールだけじゃなくて、電話するみたいに相談できるといいんだけど」
「それなら、電話すればいいじゃないか。あ、長電話は困るな」
「あのねぇ。打ち合わせの記録も残したいし、みんなで相談できる方法はないかなって相談してるのよ」
「そういうことか。……そういえばこの間、会社の後輩の結婚祝い、『メッセンジャー』(※)で相談してたっけ。あれなら記録も残せるし、ちょうどいいかな。ホットラインみたいにメッセージを送信できるソフトなんだよ。これなら、数人で、会話するみたいに、ポンポン、やりとりできるよ」
「電話だと一対一だけど、これなら、四人そろってやりとりできるわねー」
「美人四人組のやりとりか。おおっ! それなら、もっといい方法を思いついたよ。明日、ちょっと買ってきたいものがあるんだけど。顔を見ながら相談できたら、もっと便利だろ?」
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次の土曜日になりました。
「それで、今日は、これを見てもらおうと思って」
ママはおじいちゃんの家のパソコンを操作して、メッセンジャーというソフトを立ち上げました。
「おや、おまえたちのマンションじゃないか。なにか、ヌイグルミみたいなものが動いたぞ。なんだペットのイヌじゃないか」
「わ〜い、パピーが写った!」
「地方に住んでる真弓ちゃんとも相談してね。お互いにWebカメラを買ってきてパソコンに接続してみたの。この間は、これで息子さんの風太くんも紹介してくれたのよ」
「テレビ電話みたいでしょ。私、真弓ママや風太くんとお話したんだよ」
「出かける時にウチのパソコンにカメラをつけてきたので、家の中の様子が見られるんですよ。留守宅の防犯に使ったり、会社にいる間に、ペットの様子を観察したり。いろんな使い方ができるんですよね」
「まぁ、こんなことまでできるのね。あらあら、洗濯物があんなところに……」
「あらやだ。そこはちょっと、今日は目をつぶって……」
ママが操作すると、映像が変わりました。魚が泳いでいる水槽が映っています。
「それでね、先生にご相談したら、店内の様子を放送するって」
「これは、おもしろい。なかなか流行りそうないい店じゃないか」
「同窓会の当日は、ウチのノートパソコンとWebカメラを持ち込んで、地方の友達にもネットで参加してもらおうと思って。なにしろ、先生の魚をさばく手つき、解剖の授業の時と同じらしいの。その上、お客さんに説明始めるらしいよ。ぜひ、映像を見てもらわないとね」
「そ、それは……おまえたちは懐かしいだろうけど、お店が流行るかどうかは、ちょっと心配になってきたなぁ」
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(文・波多野絵理 イラスト・工藤六助)
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※メッセンジャーとは
「インスタントメッセンジャー」ともいい、オンライン中の登録者どうしで、メッセージなどをやりとりできる仕組み。ICQ、Windows Messenger、MSN Messengr、Yahoo!メッセンジャーなどがある。 |
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