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「いただきまーす」
「ちょっと待った〜! その前に記念撮影を一枚!」
東京郊外のマンションに住む椎名さん一家は、広一パパと春菜ママ、そして小学校二年生の七海ちゃんの三人家族。毎週土曜日は、近所に住むおじいちゃんとおばあちゃんの家におジャマして、みんなでお昼ごはんをいただきます。ところが、突然、おじいちゃんの待ったの声が……。
「カシャッ!」
「あっ! それ、ぼくが欲しいと思ってた一眼レフのデジタルカメラ……! 買ったんですか?」
「そう。先週、パソコンと一緒にね。カシャッ」
「おおっ、言われてみれば、最新のテレビパソコンが。いよいよ、お義父さんもパソコンデビューですね。触っていいですか?」
「だ〜め」
「むうぅ。先週、ウチにいらした時、ぼくのノートパソコンを触らせなかったおかえしってヤツですか」
「わはは、広一くん、わかってるじゃないか。それじゃ、写真撮影で勝負しないか。ワタシに勝ったら使ってもかまわんぞ」
「負けませんよ〜。よぉし、判定は公正に、七海にやらせてってことで……」
「も〜、パパもおじいちゃんも、早く食べないと冷めちゃうよ!」
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というわけで、食後は写真勝負です。新しいパソコンにデジタルカメラをつないで、撮ったばかりの写真をみんなで見ます。
「うーん、パパの写真は、なんかチマチマしてる。おじいちゃんの勝ち、だねぇ」
「悔しいなぁ。どうしてこう印象がちがうのかな」
「昔取った杵柄だよ。デジタルは初めてでも、一眼レフの経験は長いからね。形や操作感が似てるし、レンズ交換もできる。絞りやシャッター速度も設定できるから、一味ちがう写真が撮れるのさ」
「家族の集合写真ならそんなにちがわないだろうと思いましたが」
「ちょっとしたコツだよ。記念写真だと並んだ人にばかり目がいくが、画面のすみにも注意して余計なものが写らないよう構図を決め、あとはみんなの表情がいい瞬間を狙う。重要な背景じゃなければ、顔がイキイキ写るバストアップの写真でもいいんだ。デジタルカメラには、画像がハッキリ見える大きな液晶画面があるから確認しやすいし、撮ってすぐ見られるから、失敗しても撮り直せばいい。写真初心者も、デジタルカメラのほうが、上達が早いと思うね」
「そうですね。それにパソコンで加工できるし」
そう言いながら、広一パパは付属していた画像管理ソフトで、みんなが写っている部分だけを上手に切り抜きました。
「トリミング(切り抜き)したら、マシになったじゃないか。あとはもうちょっと明るく……」
さらに広一パパは、画像補正で写真を明るく調整しました。
「すっかり良くなったな。よし、写真の基本を教えるから、かわりにパソコンを教えてくれんか」
「……最初からそのツモリだったんですね」
「そりゃそうさ。でも、勝ちはゆずらんよ!」
「くうぅ〜」
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