|
|
「今日もパパ遅いねぇ。また、おじいちゃんちで録画の整理しているの?」
「そうよ、七海が見たがっていた番組もDVDに保存しないと、オウチで見られなかったでしょ?」
「そうだねー。パパのノートパソコンで見たいとこだけまとめて見られたから、便利だったね〜。でも、あれから毎日、DVD作るの、やってるの? ヨン様DVDも、完成したんでしょ?」
「そうそう、それだけじゃなくて、どうやら、映像の編集作業が面白くなっちゃったらしくて」
「映像の編集って、録画の整理のこと?」
「テレビ録画の整理だけじゃないのよ。おじいちゃんが昔録画してたビデオテープやら、あなたのために録画してたアニメ番組とかも、パソコンでまとめてるらしいわよ」
「えー、七海が小さい時、見てたアニメ? もうそんなの見ないよ」
「古いビデオテープってかさばるし、捨てるって言ったら、もったいないって言うし。ほら、デッキも壊れてDVDハードディスクレコーダーを買うことにしたから、テープだともう見られないでしょ。懐かしい番組を整理するのに、ちょうどいいタイミングだったんじゃないの?」
「ただいま〜」
「あ、パパ、帰ってきた〜!」
「ほら、この魔女ッ子アニメ、いっしょに見よう」
「わー、ラベルまで印刷してあるの? 懐かし〜い」
「もう、ほんとにあなたったら凝り性なんだから」
|
|
|
|
次の土曜日は、昼食がすむとみんなでリビングのパソコンを囲んで上映会です。
「えー、これから再生するのは、七海の成長記録です!」
「あらまぁ、これ、広一さんが作ったDVDなの?」
「そうなのよ、なんだか、すっかり映像の編集にハマっちゃったらしくて、七海の成長ビデオを作るって、夜も寝ないで、たいへんだったのよ〜。赤ちゃんの頃に撮影したデジタルビデオの映像をひっぱりだしてきて。タイトルには夏休みの絵日記のお絵描きを使って、まるで映画の監督さんね」
「あら、七海がスカートをフワンとさせてクルリとまわって、ニッコリ笑って……これ、魔女ッ子アニメのオープニングじゃないの……」
「♪マジョッコ、ナナタ〜ン! アニメ見て練習したんだよ」
「あらあら、このシーンはご近所だわ。いろんな映像をつないで、七海の物語になっているのね」
「どうです? 力作でしょう!」
「やりすぎな気もするけど、よくできてるわねぇ。ウチにも一本、そのDVDコピーしてちょうだいね」
「もちろんですよ! すぐコピーしますから……と思ったけど、このパソコン、また、録画がいっぱいになってますね……」
「そりゃそうですよ。また録画の整理、お願いしますよ。それがすんだら、今度は、タモリさんと明石家さんまと、ヒロシとギター侍と……、とにかく、新しいキーワードの登録、よろしくね!」
(文・波多野絵理 イラスト・工藤六助)
|
|
|
|