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第9回 晩秋の旅は医食同源をテーマに、体にやさしい食を求めて
晩秋の旅は医食同源をテーマに、体にやさしい食を求めて

  「旅行」には転地療養的な作用もあり、気分転換やストレス解消などにも大いに役立ちます。しかも、旅先で地元のおいしいものに出合えば、なおさらのこと。そこで、今回は体にもやさしい晩秋の食について触れてみましょう。

  晩秋といえば、みなさんご存じ、新そばのシーズンです。そばには、ルチンが豊富に含まれていることで知られていますが、これは毛細血管を強くする働きがあり、現に外国では1日50mgのルチンを摂れば脳溢血(のういっけつ)が防げるといわれています。また、そばにはビタミンBやEなど各種栄養素や食物繊維が豊富で、人間にとって理想的な健康食なのです。ちなみにそば100gにはルチンが100mg入っているといわれるので、ざるそば1枚を食せば、その量を満たすことになります。しかも、そばにのせる薬味や具材も栄養素たっぷり。ネギはビタミンB1の吸収を高める硫化アリルが含まれていますし、また大根おろしのジアスターゼは食欲を増進させ、皮に近い部分に含まれているビタミンPはルチン同様、血管を強め、高血圧や脳出血の予防にも役立ってくれます。つまり、そばと一緒に味わえば、より体内で活用されることになるのですから、一石二鳥というわけです。

 先人の知恵によって育まれた日本食は、おいしいだけでなく、健康に効果的なものが数々あります。晩秋はそんな食を求めて、医食同源をテーマに旅をするのも楽しいでしょう。

(文/戸井美也子)

 
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