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入浴姿勢
一、全身浴
肩までどっぷり浸るのを全身浴と呼びます。熱い湯に肩までどっぷり浸り、顔まで紅潮して汗を流し「あ、あー。いい湯だな」というのは、日本人特有の入浴スタイルです。
この状態は決して良い入浴の姿とはいえません。本人は気が付いていないのでしょうが、入浴でぐったり疲れた様子なのです。
肩までどっぷり湯に浸ると、体にかかる水の重さは550kgほどで、元力士「コニシキ」と「曙」が乗っかった重さとほぼ同じです。腹は5cmも縮みます。
ですから息苦しくなりますし、脈も倍に増えて動悸がします。肺、心臓に大きな負担がかかるからです。我慢して全身浴で浸ることは、若い人のほかは避けるのがよいでしょう。高血圧の人、心臓、肺が弱い人、高齢者などはとくに全身浴はよくありません。
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二、半身浴
横隔膜の高さ、両側の肋骨の下縁を結んだ線まで浸るのを半身浴と呼びます。
この深さですと、水の重さは半分に減ります。ちょうど寝たときと同じ体内の血液分布に近くなります。
半身浴は心臓、肺にかかる負担は軽く、ゆったり楽しんで湯に浸れます。
家庭ですと浴室が冷えていて、半身を外に出すのがちょっと気になりますから、初めは乾いたタオルを肩に掛けるか、両手で交互に肩に湯を掛けながら浸ります。5
分もすると全身が温まってきます。家庭の場合、冬は浴室を暖房機などで22度以上に保温をしておくことが大切です。温泉旅館ですと、浴室が温まっていますから問題ありません。
三、寝浴(浮き身浴)
浮力を利用して、浴槽の縁を枕にして浮いた姿勢で浸るか、斜めに浸る姿勢です。
水の圧力は深さに比例して、深くなればなるほど大きくなるので、体を湯の表面に近づければ、それだけ軽くなるのです。入浴で一番楽な姿勢です。日本式の浴槽より、西洋式の浴槽が体に負担が少なく楽なのです。
温泉浴の醍醐味は、ぬるい温度で浮いた姿勢でゆったり浸ることで味わえます。夏は露天風呂がよいのですが、冬の間は温度差が大きいので避けます。雪見酒は厳禁です。
(2005年旅行読売2月号より) |
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