【入浴後】
一、上がり湯
皮膚の新陳代謝で皮膚の脂肪に含まれるたんぱく質と、温泉水の化学成分とが結びついて皮膜ができます。この皮膜が体を覆って体温を抑えるので、浴後の保温効果があるのです。真湯(水道水)で皮膜を流してしまうことは、温泉に浸った意味がなくなります。
ただし、肌、粘膜がカブレやすく弱い人は、酸性泉、濃い硫黄泉、濃い塩化物泉の入浴後は、シャワーか上がり湯で流したほうがよいでしょう。健常な肌の人はそのまま流さずに上がります。
二、拭く
足拭きマットが湿っていて乾燥していないときは、他の人の水虫の感染があるかもしれないので、使用しないほうがよいでしょう。
体についた水滴は十分乾いたバスタオルでぬぐいます。肌に水滴を残すと湯冷めしやすくなります。汗が十分落ち着いてから着衣します。湯上りで体が火照っているからといって、クーラー、扇風機の風に当たるのも控えめにします。
タオルで拭っても、温泉水でできた皮膜は失われません。
三、スキンケア
乾燥肌、高年齢の人は、必ず使い慣れた化粧水でのスキンケアが必要です。保湿剤、乳液などを塗っておくことです。「美人の湯」「美肌の湯」といわれる単純アルカリ泉や、ナトリウム−炭酸水素塩泉に入浴中は、皮膚の脂肪が乳化されて肌が滑らかになりますが、浴後そのままにしておくと皮膚の脂肪が洗い流され肌がかさついてくるのです。「美人の湯」「美肌の湯」であっても、湯上がりにスキンケアが必要です。
市販の医薬部外品の入浴剤には、保湿剤が調合されています。硫黄泉、硫化水素泉、含鉄泉、酸性泉も浴後のスキンケアが特に必要です。 10〜20歳代にかけての脂肪肌の人は問題ありません。かえってこの泉質が向いています。
四.水分の補給
入浴後は目に見えなくても、水分の蒸発はかなりの量です。血液が濃縮されるので水分の補給が大切です。 60歳以上の人、高血圧、動脈硬化症、心臓疾患などの人は特に心筋梗塞、脳梗塞の予防のために必要です。水も滴る美人になるためにも、補給が必要です。水は温泉水、ミネラルウォーター、湧き水などです。
(2005年旅行読売5月号より) |