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植田理彦温泉博士の温泉健康法
 
第5回 上手な入浴法5 「半身浴でゆっくりと腰を左右に回転」
入浴中
 前回は、1日1回目と2回目の入浴中の手足、肩の運動について述べました。今回は、腰の運動です。 1日のうちで3回目の入浴で行ってもよいし、滞在2日目の入浴時に行ってもよいでしょう。
 温泉入浴は、多くて1日3回までですから、滞在日数と体の調子によって入浴時の運動を選んでください。ただ湯にじーっとつかっているより、体の部分をこまめに動かしてつかることが大切です。
温泉入浴は、いわば薬溶液に体をひたすのが目的
一、腰の運動
 ギックリ腰など急性の痛みがあるときは入浴を避けます。急性の症状が治まってから利用します。
 浴槽の中の段に腰掛けて、半身浴で3分ほど経ってから、腰を前にずらしてゆくと斜め浴か、浮き身の入浴姿勢となります。
 少し汗ばんだら一旦出浴します。5分ほど休んだら再び浴槽につかります。この時は、腰をゆっくり動かします。浴槽の縁に両手をかけて湯の中で両ひざをそろえ、腰を左右に倒す運動。休息を入れて10回行います。
 ここで一度、出浴します。浴槽の縁に腰掛けて足浴で休みます。
 ついで再び湯につかります。このときは、浴槽の中の段に腰掛けた半身浴で、体を左右にゆっくりしたリズムで回します。

二、入浴中の注意
 前回述べたとおり、入浴中はふだん凝りやすい部分を動かすとよいでしょう。
 温泉水は水道水よりも密度が高く、浮力や粘性が強く働きますから、体はより軽くなり、水中運動で水の抵抗力が勝り筋力がいっそう高まります。あくまで汗ばむ程度で、決して汗が流れるほど頑張らないこと。運動の回数は目安で自分の体調に合わせて増減します。
 調子に乗ってやりすぎると浴後に湯疲れが出ます。汗が流れるほどの長湯も同じです。ほんのり汗ばんだら一旦出浴して休息して下さい。
 このとき体や頭を洗います。温泉旅館にきたら湯水をふんだんに使える快感があるようですが、あまりごしごし全身をくまなく洗う必要もありません。
 温泉入浴は、いわば薬溶液に体をひたすのが目的です。体の洗浄は毎日の家庭入浴で済ませているのです。

(2005年旅行読売4月号より)
 


バックナンバー
第10回 糖尿病と温泉(2) 「運動施設のある温泉で5日間湯治」

第9回 糖尿病と温泉(1) 「多くの現代人が悩む糖尿病の対処法」

第8回 上手な入浴法8 「温泉入浴を楽しむ十五ヵ条」

第7回 上手な入浴法7 「飲酒後の入浴、早朝の入浴は避ける」

第6回 上手な入浴法6 「皮膜を守って保温、美肌へ効果大」

第5回 上手な入浴法5 半身浴でゆっくりと腰を左右に回転

第4回 上手な入浴法4(入浴中) 休息をとりながら湯舟で手足の運動を

第3回 上手な入浴法3 心臓、肺に負担のない入浴姿勢をとる

第2回 上手な入浴法2(熱い湯、ぬるい湯) 体に優しい入浴は、40度付近のぬる湯にゆっくりつかる

第1回 上手な入浴法(かけ湯、かぶり湯) 「入浴前に湯を浴びてレジオネラ菌を流す」
植田 理彦 温泉療法医・医学博士 植田 理彦 温泉療法医・医学博士
1927年東京生まれ。1950年東京大学卒業後、同大物療内科で温泉医学を学ぶ。温泉療法医会顧問。1990年環境庁長官より温泉行政功労者として表彰を受ける。現在、内幸町診療所所長
植田 理彦 温泉療法医・医学博士
植田 理彦 温泉療法医・医学博士


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