一. 糖尿病とは
糖尿病の人は、わが国全人口の1〜2%と推定されています。この病気の発病には体質的な因子が関与していることは明らかで、一度発病すると完全に治癒することがなく、一生涯持ち続けるものです。しかし上手に管理されれば心配のない病気です。
血液中のブドウ糖を60から140mg/dl以上に増えないように管理すればよいのです。この大切なシステムをコントロールしているのが、すい臓から分泌されているインスリンというホルモンです。このホルモンは胃腸で取り込んだ糖分を分解し、細胞にブドウ糖を送る役目をしています。
二.なぜ糖尿病が起こるのか
糖尿病には、I型のインスリン依存型とII型のインスリン非依存型があります。I型はインスリン生産の異常で絶対量が不足して起こるタイプで、II型はインスリンの需要が多く普通に生産していたのではとても間に合わなくなったために、不足の事態が生じるタイプです。
多くの人の糖尿病はII型のインスリン非依存型です。食べ過ぎ、肥満、ストレスが要因となってインスリンの消費量が増え、結果としてインスリン不足を招きます。肥満はインスリンを分泌するすい臓のランゲルハンス島の機能を低下させ、インスリン不足に拍車をかけることになります。
インスリンの生産能力が低下する体質は遺伝しますから、血縁に糖尿病の人がいれば、肥満がなくても糖尿病を起こすことがあります。
中年以降になって太り過ぎると体の中にインスリンを過度に必要とするので、中年太りの人は比較的軽い糖尿病が起こるのです。糖尿病境界型です。
三.糖尿病は合併症が怖い
糖尿病は合併症の病気といわれるほど油断すると脳卒中、心筋梗塞(こうそく)、失明、腎不全など重大な疾患を引き起こします。そのほか歯周炎、運動神経障害、知覚神経障害、自律神経障害、白内障、壊疽(えそ)なども合併症です。
これらの合併症をいかに抑えることができるかが、糖尿病の対策になります。
合併症を起こさなければ糖尿病そのものはさほど恐れる病気ではありません。温泉による効果、入浴法などは次回に。
(2003年旅行読売10月号より)
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