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植田理彦温泉博士の温泉健康法
 
第7回 上手な入浴法7 「飲酒後の入浴、早朝の入浴は避ける」
飲酒後の入浴、早朝の入浴は避ける

一、食事と入浴

 温熱の作用で、あつい湯や長い時間の入浴では皮膚が紅潮します。それは皮膚の血管が拡張するからです。皮膚の血管が拡張すると、反対に胃腸の血管は収縮します。すると胃液の分泌はとまり、胃腸の運動も緩慢になります。

 したがって旅先の旅館などでは、食前の入浴はサッと済ませることが望まれます。ゆったり長湯をすると、せっかくのご馳走が食べられなくなります。しかし、冷たいビールを一杯飲むと食欲が出ます。

 あまりの空腹時に長湯をすると気分が悪くなることや、脳貧血を起こすことがあるので避けます。宿に着いたら、部屋に置かれたお菓子とお茶で一服した後に、サッと食前の入浴をするのがよいでしょう。

 食後の入浴は1時間を過ぎてから、ゆったりと寛ぐ入浴がよい。胃の中にまだ食物がある食事直後の入浴は避けます。その理由は前に述べたように、入浴で皮膚の血管が拡張すると、胃液の分泌が止まり胃腸の運動が緩慢になって、消化不良を起こすからです。

二、飲酒と入浴

 温泉と酒は付きものです。また家庭でも晩酌の習慣のある人は、酒を飲んでから風呂に入る人も少なくありません。

 飲酒をしたら、なるべく酔いがさめてから入浴して下さい。入浴前の飲酒の量は、日本酒で約一合、ビールで中びん一本でしょう。ほろ酔い程度です。泥酔したら入浴は禁じます。

 飲酒の直後の入浴は、血液の循環が乱れて気分が悪くなりますし、脳貧血を起こして意識を失い、転倒や溺れる事故につながります。深酒では怪我や溺死も起こしかねません。

 世間一般では、入浴すると酔いがさめるといいますが、これは間違いです。入浴で血液中のアルコール濃度は減りません。多量の水やお茶を飲むか、飲泉することにより尿からアルコールが排泄されます。酒を呑みすぎたときは、温泉入浴は翌日にするのが賢明です。

 なるべく体温に近いぬるめの湯にゆったりつかると、利尿効果は高まります。

 また高齢者の早朝の入浴は避けます。明け方は血液の濃度がたかまっていますから、血液の塊ができやすく、浴後に脳梗塞、心筋梗塞が起こりやすくなるからです。一人で入ることはせず必ず仲間と一緒に入浴します。


(2005年旅行読売6月号より)
 


バックナンバー
第10回 糖尿病と温泉(2) 「運動施設のある温泉で5日間湯治」

第9回 糖尿病と温泉(1) 「多くの現代人が悩む糖尿病の対処法」

第8回 上手な入浴法8 「温泉入浴を楽しむ十五ヵ条」

第7回 上手な入浴法7 「飲酒後の入浴、早朝の入浴は避ける」

第6回 上手な入浴法6 「皮膜を守って保温、美肌へ効果大」

第5回 上手な入浴法5 半身浴でゆっくりと腰を左右に回転

第4回 上手な入浴法4(入浴中) 休息をとりながら湯舟で手足の運動を

第3回 上手な入浴法3 心臓、肺に負担のない入浴姿勢をとる

第2回 上手な入浴法2(熱い湯、ぬるい湯) 体に優しい入浴は、40度付近のぬる湯にゆっくりつかる

第1回 上手な入浴法(かけ湯、かぶり湯) 「入浴前に湯を浴びてレジオネラ菌を流す」
植田 理彦 温泉療法医・医学博士 植田 理彦 温泉療法医・医学博士
1927年東京生まれ。1950年東京大学卒業後、同大物療内科で温泉医学を学ぶ。温泉療法医会顧問。1990年環境庁長官より温泉行政功労者として表彰を受ける。現在、内幸町診療所所長
植田 理彦 温泉療法医・医学博士
植田 理彦 温泉療法医・医学博士


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