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「高齢化の時代、定年後の自分と人生を2度生きた男を重ねる」
高齢化の時代、定年後の自分と人生を2度生きた男を重ねる
 
 忠敬橋から100メートルほど先の樋橋を渡り、伊能忠敬記念館へ。この橋は、その両側から流れ落ちる水音から、ジャージャー橋とも呼ばれる。もともとは、江戸時代に農業用水の水路橋として使われていたが、常に水があふれていたらしい。復元された今は、ポンプでくみ上げ、30分おきに5分間流している。忠敬も耳にしていたであろうこの水音は、善光寺の鐘の音や京都の琴引浜の鳴き砂などとともに、環境省の「残したい日本の音風景100選」に選ばれている。
 記念館には、地図はもちろん、測量器具などが展示されている。館長の伊能楯雄さんは「人生を2度生きた男と呼ばれる忠敬の生き方は、高齢化時代に合う。定年前後の人はいろいろ感じることもあるようで、熱心に見学する人が多いですね」と話す。直系ではないが、忠敬の親戚筋にあたるという。
 忠敬は天才などではなく、ごく普通の人だった。ただ、田畑を測るのと同じ方法で一歩一歩を積み重ね、当時の外国人が驚いたほどの精巧な日本地図を作り上げた。言葉をかえれば、地球1周分に相当する3万5000キロ、4千万歩を歩いた男の、その一歩は小さく堅実なものだった。
 帰路、自分の一歩一歩をしみじみと確かめながら駅に向かう。忠敬の歩幅の感覚はまだ残っていた。

(文/熊崎俊介)

地図
 
歩き旅メモ
【交通】成田線佐原駅下車/東関東自動車道佐原香取ICから県道55号線経由約10分、町並み周辺に有料駐車場あり(1日500円)。東京駅からの高速バスもある
【備考】ボランティアガイドあり(無料、要予約)。問い合わせは、佐原町並み交流館 TEL:0478-52-1000
【宿泊】町並み周辺にビジネスホテル、旅館など約10軒
【問い合わせ】佐原市商工観光課 TEL:0478-50-1212
 
(2005年旅行読売6月号より)
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